あの日、桜のキミに恋をした

まだ沢村が見たのが由奈じゃなかった可能性だってないわけじゃない。


この目撃情報だけで勝手に決めつけるのは良くないと思って、俺は単刀直入に由奈にメッセージを送った。


『あのさ……今一緒に回ってる友達って、もしかして男だったりする……?』


文化祭を回ってるなら携帯の通知に気づかないかもしれないと思ったけど、返事は思いの外すぐにきた。


『えっと……そう、男の子なんだけどね、』 


『でも本当にただの同級生で』


『友達と来てたんだけど、その人は彼女に会いに来てたから3人で回るのは申し訳ないって言って、』


『1人で回るとか言い出すからほっとけなかったの!』


『隠したわけじゃないんだけど、メッセージより後で直接話した方がいいかなと思って』


正直なところ、次々と送られてくる〝経緯〟の部分は別になんだってよかった。


彼女が嘘をついていないことは分かるし、その同級生に特別な思い入れがあるわけじゃないことも分かっている。


それなのに、彼女に対してモヤっとした感情を抱いてしまうし、そんな子供じみた自分にも嫌気が差す……。