Side 康介


立花さんから『話したいことがある』とメッセージが来たのは、同窓会から１ヶ月ほど経った頃だった。


メッセージのトーン的に、残念ながら楽しい話題ではなさそうだ。


彼女が俺の家の方まで来てくれると言ったから、俺はそれに甘えて待ち合わせ場所を指定した。


この辺りは最近お洒落なカフェが増えていたから、入る店に困らないと思ったから。


「急に呼び出しちゃってごめんね？」


「俺こそ、こんな遠くまで来てもらってごめんな」　


「それにしても、佐々木くんがこんなオシャレなお店を知ってるなんてちょっと意外。こういうとこ連れてきて可愛い子を落としてるんでしょ〜？」


「そんなんじゃねーって！」


高校生の頃を思い出すようなこの懐かしいノリに自然と笑みがこぼれた。


「橘さんってカフェとか好きそうなイメージだったから、気に入ってもらえそうなとこ頑張って探した」


「なにそれ……そんなこと言うの、反則だから……！」


彼女は顔を隠すように手に取ったメニューを広げて持った。


たまに橘さんの行動がよく分からない時がある。


注文をしてからしばらく沈黙が続いて、俺は彼女が話し始めるより先に口を開いた。


「それで、話って……？」


「あ、うん……由奈のことなんだけどね……」


ほぼ確実にその話題だとは思っていたが、彼女はかなりばつが悪そうな表情で話し始めた。


「この間ね、本当に偶然由奈に会ったの」


「マジ？いつ？どこで？」


俺はつい身を乗り出して聞いてしまった。