「そういえば、何でアリスもこのオバサンも死ななかったん……ですか?」
藍がぶっ放したS&Wの弾丸は、間違いなく致命傷として2人を撃ち抜いていたはず。
別な世界(ネバーランド)の一部であるこの海賊船の上では、2人はただの脆く儚い人間でしかなかったんだから。
「それは―――」
「こいつのお陰さ」
藍の方を振り向くと、囚人服のような紫のストライプが体に入ったニヤニヤ笑いの生き物が、藍に抱きかかえられて気持ちよさそうに撫でられていた。
「ニャー」なんて、間違っても鳴かなかったが……。
「チェシャ猫?」
そういえばいつの間にか船の下の喧騒も治まっている。
「あの時、チェシャがアリスに渡したって言ったから、俺は躊躇いなく撃てたんだ」
「この“時計”をね」
僕の方に差し出したアリスの白い右手には、銀色の懐中時計が握られていた。
「ちょっとあの憎たらしい白兎から失敬してきたんだよな。今頃血眼になって探してるんじゃないかな。いい気味ー。ま、そんな顔はしないがね」
そう言うとチェシャ猫は、ふわりと浮かび上がりながらゆっくりその姿を消していった。
(めっちゃにやけてるじゃねーか……)
藍がぶっ放したS&Wの弾丸は、間違いなく致命傷として2人を撃ち抜いていたはず。
別な世界(ネバーランド)の一部であるこの海賊船の上では、2人はただの脆く儚い人間でしかなかったんだから。
「それは―――」
「こいつのお陰さ」
藍の方を振り向くと、囚人服のような紫のストライプが体に入ったニヤニヤ笑いの生き物が、藍に抱きかかえられて気持ちよさそうに撫でられていた。
「ニャー」なんて、間違っても鳴かなかったが……。
「チェシャ猫?」
そういえばいつの間にか船の下の喧騒も治まっている。
「あの時、チェシャがアリスに渡したって言ったから、俺は躊躇いなく撃てたんだ」
「この“時計”をね」
僕の方に差し出したアリスの白い右手には、銀色の懐中時計が握られていた。
「ちょっとあの憎たらしい白兎から失敬してきたんだよな。今頃血眼になって探してるんじゃないかな。いい気味ー。ま、そんな顔はしないがね」
そう言うとチェシャ猫は、ふわりと浮かび上がりながらゆっくりその姿を消していった。
(めっちゃにやけてるじゃねーか……)


