「あーアリス。お久――」
片手を上げて挨拶した藍を完全にスルーする形で、アリスは頭上の巨人を見上げた。
「アイ、もしかしてもしかして、あれが今度の『アマルリ』なの?」
アリスが親指で上を指差しながら聞いてくる。
「そうだ。名前は、紫苑」
「シオン……」
「あの源次郎の孫。そして“アイツ”の娘だ」
「……」
流石に往年の付き合いか。皆まで言わなくても藍の言わんとしていることを、アリスはすぐに理解する。
「力は知らん。俺もさっき会ったばかりの強行軍だからな。力その他は未知数、好奇心旺盛、口悪し、でもってさっきお前の指摘した通りバカな……女の子だ」
天瑠璃 紫苑。性別は女。
口が悪くて男勝りなのだから服装もならえばいいのに、キノコで巨大化した今、網目状のスリットが両サイドに入ったスカートからは、白とオレンジのストライプが丸見えだ。しかも本人に気づいてる様子はない。
バシャ! バシャシャ!
「うわっ! 雨!?」
突然空から、直径1メートルになる水の塊が、風を切りながら落下してきた。
目を凝らして上を見れば、遥か上空の紫苑の目からポロポロと零れた涙が、辺り一面に隕石の如く降り注いでいるではないか。
一際大きな塊が当たった、太い木の枝がへし折られた。
藍はアリスと共に、とりあえずスカート下の安全地帯に逃げ込み、説得に当たることにした。
「バカ、やめろー! 俺達を殺す気かー! 泣くなー! 泣く暇があったら笑え゛ぼぁっ!?」
藍は突然の痛みと共に視界が左傾き、体が曲がってはいけない方向にくの字に曲がった気がした。
そして次の瞬間には緑の雑草と土のベッドに顔面からダイブしていた。
「バカはお前だ! まったく、そんな説得で女の子の不安が治まる訳ないでしょ! ホントに昔からバカなんだから! このバカ」
言い過ぎだ。
「お、お前……何が悪くて、紫苑ではなく俺がバカ(×3)扱いされて地面とキスしなければいけないんだ……」
アリスは、無防備なひとの肋にフライング・ドロップをかますような女だった。
あの重たい蹴りを受けたのが藍ではなかったら、肋骨の2、3本はいっていただろう。
躊躇なく平然と蹴り込んで、しかも、軽く20キロは越える銃器を背負ったままで軽々と跳躍するのだから、彼女も色々と普通ではないのだ。
片手を上げて挨拶した藍を完全にスルーする形で、アリスは頭上の巨人を見上げた。
「アイ、もしかしてもしかして、あれが今度の『アマルリ』なの?」
アリスが親指で上を指差しながら聞いてくる。
「そうだ。名前は、紫苑」
「シオン……」
「あの源次郎の孫。そして“アイツ”の娘だ」
「……」
流石に往年の付き合いか。皆まで言わなくても藍の言わんとしていることを、アリスはすぐに理解する。
「力は知らん。俺もさっき会ったばかりの強行軍だからな。力その他は未知数、好奇心旺盛、口悪し、でもってさっきお前の指摘した通りバカな……女の子だ」
天瑠璃 紫苑。性別は女。
口が悪くて男勝りなのだから服装もならえばいいのに、キノコで巨大化した今、網目状のスリットが両サイドに入ったスカートからは、白とオレンジのストライプが丸見えだ。しかも本人に気づいてる様子はない。
バシャ! バシャシャ!
「うわっ! 雨!?」
突然空から、直径1メートルになる水の塊が、風を切りながら落下してきた。
目を凝らして上を見れば、遥か上空の紫苑の目からポロポロと零れた涙が、辺り一面に隕石の如く降り注いでいるではないか。
一際大きな塊が当たった、太い木の枝がへし折られた。
藍はアリスと共に、とりあえずスカート下の安全地帯に逃げ込み、説得に当たることにした。
「バカ、やめろー! 俺達を殺す気かー! 泣くなー! 泣く暇があったら笑え゛ぼぁっ!?」
藍は突然の痛みと共に視界が左傾き、体が曲がってはいけない方向にくの字に曲がった気がした。
そして次の瞬間には緑の雑草と土のベッドに顔面からダイブしていた。
「バカはお前だ! まったく、そんな説得で女の子の不安が治まる訳ないでしょ! ホントに昔からバカなんだから! このバカ」
言い過ぎだ。
「お、お前……何が悪くて、紫苑ではなく俺がバカ(×3)扱いされて地面とキスしなければいけないんだ……」
アリスは、無防備なひとの肋にフライング・ドロップをかますような女だった。
あの重たい蹴りを受けたのが藍ではなかったら、肋骨の2、3本はいっていただろう。
躊躇なく平然と蹴り込んで、しかも、軽く20キロは越える銃器を背負ったままで軽々と跳躍するのだから、彼女も色々と普通ではないのだ。


