時は流れて、あっという間に年末に差し掛かっていた。
夕は年末たがら仕事が忙しい、という事は無いようで変わらない毎日を送っているが営業である鈴音は年末の挨拶回りもあり、忙しい毎日を送っていた。

しかし、鈴音にとっては仕事よりも気合いが入っている事があった。
12月28日、夕の誕生日だ。

今までは年末という事もあり、基本はみんなで集まってお祝いする事が定番化されていた。
しかし、今年は皆が2人でしなよ!と気を使ってくれて2人で過ごすことになっている。

「ん〜、ほんとに良いのかな〜」

リビングでソファーで、悩みんでいるとお風呂から出た夕が上から覗き込むようにして

「どうしたの?」

と聞いてくる。
しかし、本人に相談する訳にもいかない為

「仕事だよ〜!あ、夕また髪の毛乾かさずに出てきたでしょ〜!!」

と話を逸らす。
いつもだったら、鈴音の少しの異変も許さずに聞いてくる夕なのだが、今日はあっさりと話題を変えた事を許してくれる。

「だってすずのとこに早く来たかったから」

本日も相変わらずの甘々な夕である。
ちゅっと軽くキスをする夕のほっぺたをむぎゅっと両手で挟み

「こーら!誤魔化さない!風邪ひいたら大変なんだから乾かしてあげるからここ座って!」

そう言うと、夕は少しムスッとしたものの、"鈴音に髪を乾かして貰う"事は嬉しい様で、すぐに機嫌を戻して鈴音の前に座る。

夕の髪は、鈴音よりも遥かに短い為すぐに乾いた。

「はい!出来た!!」

「ありがとう」

お礼と言わんばかりに、もう一度鈴音にキスをする夕。
ふふっと笑いあって、 何かを話す訳でもなくテレビを見ながら心地よい時間を過ごす。

いつの間にか寝てしまっている夕の顔をみて、

やっぱり、みんなでもお祝いしてあげたいな〜

と考える。
みんなも2人でやりなよ!と言ってくれてはいるものの、夕を祝いたい気持ちは絶対にあるだろうし、夕自身も皆からお祝いして貰えるとより嬉しいだろう。

しかし、やっぱり2人でも過ごしたいなぁ、という気持ちもあって考えていると

「あ!!」

と思いついたと同時に思わず声を上げてしまう。

「ん〜ごめん寝てた。。どうしたの?」

なかなかの声量だったこともあり、夕が起きてしまった。
時計を見ると23時を回っていた為、ベッドに向かう。
ベッドに入ると、夕はいつものように鈴音を抱きしめてすぐに眠ってしまった。

鈴音はと言うと、先程思いついた案を実現させるために夕が眠っていることをしっかりと確認してからある人物に協力の求めるLIMEを送ってから眠りについた。