ジルベルトが腕を伸ばし、片手で仔猫の身体をそっとつかみあげた。
仔猫はキョトン。
そのまま宙を渡り、顔の前に持って行かれる。
「知っていたよ? おまぇは俺と同じ名だ。……な、ジルベルト?」
「にゃー」
仔猫と視線の高さを揃えたジルベルトの呼びかけに応えるように、仔猫がしっかりと鳴いたので——マリアは大慌てだ。
「知っていたって、どうして……っ」
「仔猫に《《俺の名》》を付けて呼ぶ女性がいると、調査をする者から一報が入ってね。すぐに君だと思った。それで……こうしてマリアを迎えに来たんだ」
「猫に同じ名前をつける人なら、他にもいるのでは?!」
「国境付近の居酒屋で働き、俺の名をわざわざ仔猫に名付ける《《珍しい髪色》》の女性なんて、君しかいないだろう?」
「あなたはそれをっ……この子の名前を知っていて、私にわざとお尋ねになったのですか?!」
——からかわれた。
もうこうなれば、仔猫をジルベルトと呼んでいたのを隠そうとした事さえも恥ずかしい!

