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『君には本当に申し訳の立たない事をしてしまったと思っている』
謝罪の為に皇城を訪れたウェインの宰相ロベルト・ヴァルドゥは、ジルベルトに深々と頭をさげた。
謝罪をする代わりにとマリアの居場所を問い詰めたが、ロベルトは追放されたメイドの行方を知らないと言いはる。
ロベルトの虚言かとも思ったがどうやらそうではなさそうで、マリアの居場所を知るウェインのメイド長からジルベルトが直接話を聞き出すまでに時間を要してしまった。
「にゃー」
六人乗りの、広々とした馬車の車中に揺られる二人と一匹——。
マリアの膝の上の仔猫は落ち着かず、身体をよじらせたりアクビを繰り返したりしている。
彼の向かい側に座るマリアは身体をこわばらせ、ジルベルトの馬車に乗せられてからずっと静かにうつむいたままだ。
——やはり驚かせてしまっただろうか?
ウェインの牢では凶悪犯としてマリアと関わり、無実を証明できぬまま死にかけるという醜態まで晒してしまった。結果的にマリアがウェイン城を追われるきっかけとなった男が突然目の前に現れたのだから、驚きや戸惑いに苛まれないはずがない。
その男にいきなり荷造りをさせられた挙句、奉公先を半ば強引に連れ出されたのだ。マリアが言葉を失うのも無理はない。

