ジルベルトが目配せをすれば、入口の扉が開かれローブを羽織った品のある若い女性がやってくる。「お手伝いいたします。マリア様のお部屋はどちらですか?」耳元でそう告げれば、マリアの背中を押してホールの外へと促した。
わけもわからぬまま女性とともにホールを出ていくマリアを見届けると、ジルベルトは鎮まりかえった店内を見渡した。
数名の店員がこちらに注目しながら息を呑み、ジルベルトのすぐそばには目を見開いた三人の女が寄り添うように固まっている。ジルベルトの靴先が三人の女たちのほうに向いた。
「君たちがマリアの同僚か?」
絶句したままの三人をそれぞれ見据えたあと、ジルベルトが見下ろしたのはミアだ。
繊細な指先がミアの顎を捉え——くいっと持ち上げる。腰を折ったジルベルトの眼差しが、ミアの二つの眼を間近に捉えた。
「調査をした者達から話は聞いている。マリアが随分と世話になったようだな?」
宝石のように煌めく青い瞳に釘付けになり、ミアはごくりと息をのむ。見たことも会ったこともないほどの美しい男に、自分は今、見つめられているのだ。

