【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!


 冷徹な光を湛えたアイスブルーの瞳が店主を()め付ける。

 それは片田舎の定食屋にはあまりにも不似合いな、目の前にいる者たちを平伏させるほどの気品と威厳。
 その眼差しの冷ややかさとは裏腹に、引き結ばれた口元は微かな笑みを浮かべていた。

「お、お前……ッ!? 何なんだよ、マリアとどういう関係だ……!」

 掴み上げられた右手の激痛に店主が顔を歪ませ、震える声を絞り出す。

「どういう関係? フン、下衆に自己紹介などするものか」

 鼻で微笑(わら)ったジルベルトは掴んでいた店主の手を乱暴に放し、濡れた床に突き飛ばした。

「代わりに教えてやろう——命には、敬意を払え」

 ジルベルトの発した言葉が静まり返った店内に響く。漆黒の礼服に身を包んだ彼の体躯の威圧だけにとどまらず、地を這うように低い声色は、静けさに包まれた店内を震撼(しんかん)させるのにじゅうぶんだった。