「このアマッ、今そうしてやるよ! お前はクビだ!!」
頭上に振り上げられた拳に、ぎゅっと目をつむる。
一秒後の衝撃に耐えるために。
「ぇ…?」
だがいくら待ってもその衝撃は来ない。目を開けると、店主の真横にもうひとり、背の高い男性が立っていた。
「なかなか度胸があるじゃないか、マリア。良い覚悟だった」
精悍な眉、翼の睫毛。
そして、強い意志を放つアイスブルーの瞳——
店主が振り抜いた拳を片手で難なく受け止めているその青年は、握力だけで店主を跪かせると、
「今の話を始めから聞いていたが、筋はどうやらマリアにありそうだ」
——《《ジルベルト》》が、私を庇っていた。

