ジルベルトに促され、お尻の下に敷いていた寝具を引き出せば、肩からそれを掛けられた。

「ミラルダの事だが……黙っていてすまなかった。婚約はまだ正式に決まったわけじゃないんだ。
 俺はミラルダの父、ガルヴァリエ公爵への返答を渋ってる。ミラルダは人一倍責任感の強い人だ。マリアにあんな事を言ったのは、半端な事は許さぬという彼女の意思を示したかったのだと思う」

「宣戦、布告……?」
「ああ。マリアが傷ついたろうと、フェリクスも心配していたよ」

「いいえ、私がこんなふうだから……ラムダ、いえ……ミラルダを不安にさせてしまったのだと思います」

 自分の弱さを思うと、みるみる心が沈んでいく。
 いったいどうすればラムダのように『強く』なれるのだろう。