いたたまれなさで駆け戻った部屋には、ふわふわの毛玉が待っていてくれた。
 短い足で一生懸命に歩く仔猫の、すっくと立った長いしっぽの先が揺れながら近づいてくる。

「にゃーん」

 皇宮を出るまで何度も帰り道を誤った。
 きっと酷い顔色をしていたのだろう。
 行く先々で鉢合わせた者たちはみんな、マリアに訝しげな目を向けた。

 そのたびに自分は疎外者だと言われているような気がして、なおのこと心が痛んだ。

「ジル……っ」

 あたたかな温もりを確かめたくて、子猫を抱き上げる。
 柔らかな毛並みに頬を埋めれば、ようやく一人じゃないと思えて少しだけ落ち着いた。

「いてくれて、ありがと……」
「にゃ?」
(どうしたのさ、なんか変だよ、マリア!)