女の動揺がこちらにも伝わってくる。突然に名を呼ばれてさぞ驚いたに違いない。

 リズロッテは急いで鉄格子の端に身を隠した。
 心臓がどくどくと騒がしく胸を打ちつけ、呼吸が荒くなる。痺れるような興奮と喜びが身体中を駆け巡った。

 ——やはり今日、ここに来たのは間違いじゃなかった。あの下女の正体を、とうとう掴んだ……!!

 リズロッテの推測が確かなら。
 下女が媚薬を使う魔女だなんていう未詳の事実なんかよりも、よほど役立ちそうな情報に違いなかった。