【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「にゃー、にゃー」
(急に怖い顔してどうしたにゃ?)

 心配そうに見上げる仔猫のジルには、マリアが抱えはじめた疑問など想像もつかない。

 薔薇の甘い香りが、研ぎ澄まされた五感のなかで鮮明に漂う。
 これが幸せな夢ならばいつまでも覚めないでいてほしい。

 抱きはじめた霧のような疑問など、薔薇の香りに紛れて消え去ってしまえばいいのにと願うのだった。