一瞬、何が起こったのかわからずマリアの瞳が大きく見開いた。
ああ、そうだった。
目の前に押し当てられたジルベルトの礼服の飾りは、王印と同じ鷲ではないか。
「ごめん……衝動。マリアが宮殿を出るのを見かけたから、つい追ってしまった。ひとりきりじゃつまらぬだろう? マリアを皇城に連れてきたのは俺なのに、寂しい想いをさせてごめん。俺も時間を作るよ。昼間にしたいこと、たくさん考えておいて」
——ジルベルトを心配させている。ひとりでも平気だと、言わなきゃいけない……!
心ではよく分かっているのに、肝心の言葉はちっとも出てきてくれなくて。
代わりに目頭がじわりと熱くなる。
この人はどうしてこんなに優しくて、マリアの気持ちが汲み取れてしまうのだろう。
ああ、そうだった。
目の前に押し当てられたジルベルトの礼服の飾りは、王印と同じ鷲ではないか。
「ごめん……衝動。マリアが宮殿を出るのを見かけたから、つい追ってしまった。ひとりきりじゃつまらぬだろう? マリアを皇城に連れてきたのは俺なのに、寂しい想いをさせてごめん。俺も時間を作るよ。昼間にしたいこと、たくさん考えておいて」
——ジルベルトを心配させている。ひとりでも平気だと、言わなきゃいけない……!
心ではよく分かっているのに、肝心の言葉はちっとも出てきてくれなくて。
代わりに目頭がじわりと熱くなる。
この人はどうしてこんなに優しくて、マリアの気持ちが汲み取れてしまうのだろう。

