【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 気持ちを落ち着かせるために、もう一度ふかく深呼吸する。
 噴水脇に腰を下ろせば、清々しい水音が心の澱みを拭い去ってくれるような気がした。

 皇太子に見つかれば殺されてしまう——。

 それがわかっていて、マリアは皇城に身を置き続けた。
 たとえその相手が第三皇子だろうが、皇太子だろうが大きな違いは無いように思えた。

「にゃーにゃーにゃー」
(ジルベルトは、なんでマリアに嘘ついてたにゃ?!)

 マリアが皇城に向かう馬車の中で『皇太子の目の端にも映りたくない』と言ったばかりに、自分がその《《皇太子》》であるとは言い出せなかったのだろう。

「……私も嘘をついているのだから、おあいこよ」