スピードが出ているので、やはり聞こえなかったろうか。
マリアがそう思っていると、
「もう着くよ」
向かい風の中で、ジルベルトの力強い言葉が耳に届く。
そこから数分も経たぬうちに、ふたりを乗せた黒馬は森の中の小道を抜けて、高台の広々とした草地に赴いていた。
ドウ、ドウ———
馬の歩みを止めたジルベルトは、自分が降りた後にマリアを降ろすと、木の幹に手綱を結えながら呟いた。
「……間に合ったようだな」
額にジルベルトの唇がふれた事のどきどきが止まらぬなか、馬を降ろされる時は腰を抱かれて赤面までもが止まらない。
けれどそれ以上に、マリアの心を動かすものが目の前にあった。
街では建物の後ろ側に見えていたオレンジ色の夜空が赤紫色に変化を遂げていて、高台から見上げる視界いっぱいに美しい星空が広がっていた。
「綺麗…… !」
いつの間にかジルベルトがマリアの隣に立っていて、青紫色の空の下に沈む帝都の街の薄明かりを見つめている。
マリアがそう思っていると、
「もう着くよ」
向かい風の中で、ジルベルトの力強い言葉が耳に届く。
そこから数分も経たぬうちに、ふたりを乗せた黒馬は森の中の小道を抜けて、高台の広々とした草地に赴いていた。
ドウ、ドウ———
馬の歩みを止めたジルベルトは、自分が降りた後にマリアを降ろすと、木の幹に手綱を結えながら呟いた。
「……間に合ったようだな」
額にジルベルトの唇がふれた事のどきどきが止まらぬなか、馬を降ろされる時は腰を抱かれて赤面までもが止まらない。
けれどそれ以上に、マリアの心を動かすものが目の前にあった。
街では建物の後ろ側に見えていたオレンジ色の夜空が赤紫色に変化を遂げていて、高台から見上げる視界いっぱいに美しい星空が広がっていた。
「綺麗…… !」
いつの間にかジルベルトがマリアの隣に立っていて、青紫色の空の下に沈む帝都の街の薄明かりを見つめている。

