「あら、大変ですことっ。お嬢様、お怪我はございませんか?!」
「それを今確かめると言っている」
ジルベルトの慌てようにたじたじとなっているのは、転んだ張本人のマリアだ。
「あのっ、ジルベルト……? 私、全然平気です、だって……」
マリアは扉の前のたった二段ほどの階段につまづき、尻餅をついただけだ。
「足を挫いていないか? どこか痛いところは?!」
「ですから、平気です」
「本当に……!?」
ジルベルトはマリアを玄関脇に置かれていた椅子に座らせると、自分もすっくと跪いた。
秀麗な面輪に悲壮さを滲ませて、ワンピースの裾のレースから覗くマリアの足首を押さえたり動かしたりしている。

