【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!


 マリアの不安を拭おうとするように、繊細な長い指先が血の気を失った頬を撫でる。

「俺を信じて。マリアは俺の可愛い寵姫だ」

 できることならば、この甘やかな言葉を喜びと幸せの気持ちだけで受け止めたかった。
 ジルベルトの碧い瞳は揺るぎないけれど、大勢の人前に、ましてや皇太子の面前に出るなど考えただけでも身震いがする。

「勿論、あなたを信じています……心、から」

 凍えそうな想いを抱え始めたマリアの気持ちを知らず、ジルベルトは顔を上げて揚々と歩みを進める。

 広大な広場をようやく横切り、立ち並ぶ建物の幾つかを通り過ぎる。気付けば、見上げるほど大きな白亜の双扉の前に立っていた。
 
「着いたよ」

 双扉の両側に立つ、青い制服をきちんと着こなした青年たちが、お辞儀とともに重そうな扉を開けた。