「式典で周囲を納得させるためにも、君の生まれ育ちを知っておきたい。まだ日があるから、気長に待つよ」
一難が去ってまた一難とはこのこと。
少なくともマリアに爵位など無いのだし、説明できる事情も有りはしない。むしろひた隠しにせねばならぬ事実ばかりだ。
——どれだけ待ってくださっても。私が話せる事なんて何もない。
私が……帝国が探しあぐねる雲隠れ王女、その張本人だなんて言えるはずがない……!
「私は……人前に、出ることなんて、とても……っ」
「《《皇太子》》の事を案じているのだろう? それなら問題はない。決してマリア傷つけたり、怖がらせたりはしない。神に誓って約束しよう」
——そう。帝国の式典であれば、皇太子も隣席しているはず。もしも目を付けられでもしたら……!

