マリアが飴細工職人の露店に目を奪われていると。
目の前にジルベルトの手がす、と差し出された。
——え……?!
「あの、……っ」
どうしたら良いものか戸惑っていると。
痺れを切らした手のひらが、マリアの指先を強引に掴んだ。
「このペースでは日暮れを迎えてしまいそうだ。少し急ごう。寄るところがある」
掴まれた手をぐい、と引かれ、ジルベルトと並んで歩く格好になる。するとジルベルトは——マリアの手を握り直し、互いの指と指を絡ませた。
「こうして捕まえておけば、マリアがいつ立ち止まっても置いて行かずに済むだろう?」
驚いて見上げると、優しい瞳が応えるようにマリアを見下ろしている。ジルベルトの頬は、心なしか紅く染まっていた。

