【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 
 マリアが飴細工職人の露店に目を奪われていると。
 目の前にジルベルトの手がす、と差し出された。

 ——え……?!

「あの、……っ」
 どうしたら良いものか戸惑っていると。
 痺れを切らした手のひらが、マリアの指先を強引に掴んだ。

「このペースでは日暮れを迎えてしまいそうだ。少し急ごう。寄るところがある」

 掴まれた手をぐい、と引かれ、ジルベルトと並んで歩く格好になる。するとジルベルトは——マリアの手を握り直し、互いの指と指を絡ませた。

「こうして捕まえておけば、マリアがいつ立ち止まっても置いて行かずに済むだろう?」

 驚いて見上げると、優しい瞳が応えるようにマリアを見下ろしている。ジルベルトの頬は、心なしか紅く染まっていた。