【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!


「お前さんたち、いったい何があったんだい!」
「子供が木から落ちたんだってよ」
「おい……大丈夫か?!」
 ラムダの傍で泣きじゃくる子供を大人たちが立ち上がらせた。

 ——ラムダ……!!

 駆け寄ったマリアは、地面に横たわって動かぬ身体のそばに両膝をつく。恐る恐るその肩に触れたとき、不安がぞわりと背中を撫でた。

「起きて? ねぇ、ラムダ……!」
 
 ——もしもラムダが、このまま動かなかったら……っ

 すらりとした華奢な身体を両手で揺さぶる。黒い煙のような不安がマリアの胸を這い、みるみる広がった。何度も名前を呼ぶが、ラムダは石のように動かない。

 ——誰か……助けて……!!

 怖くなって青ざめ、マリアがぎゅっと目を閉じた……その時だった。