「そんな、マリア様ったら。大袈裟ですよ?」
「厚かましいお願いかも知れませんが、ラムダさん。もしよかったら……私のお友達になってくださいませんか?」
マリアからの、嬉しい申し出だった。
皇城にやってきたひと月前は弱々しく、消え入りそうだったアメジストの瞳の輝きが、凛とした意思を持ってラムダをしっかりと見つめている。
ラムダはホットドックを脇に置いてマリアの空いているほうの手を取り、華奢な手のひらを指先で包んだ。
「厚かましいだなんて言わないで? 嬉しい。勿論ですわ、マリア……! 今日からそう呼んでもいいかしら?」
「ええ、勿論です、ラムダさんっ」
「わたくしのことも、ラムダと呼んでくださいね?」
「有難うございます、ラムダ……!」
心を通わせた二人が互いに手を取り合い、笑顔を浮かべて見つめ合う。
どちらからともなくクスッと笑えば、互いの立場を超えた二人の確かな『友情』がそこにあった。
残りのホットドッグをふたり揃って頬張ろうとしたとき。
「ねぇ……あれを見て……?」
マリアの瞳はラムダの視線を通り越し、ずっと先の方を見つめている。
ラムダが肩越しに振り返れば、噴水の近くの木に一人の子どもがよじ登っているのが見えた。
木の周辺には、彼より年嵩の少年たちが数人、木の上を見上げて口々に何か叫んでいる。
「マリア、あの子たちがどうかしましたか?」
「何だか様子がおかしいのです」

