「ハハッ深呼吸してる。そろそろ時間になるし、行こうか」

 トレーにジュースとポップコーンを乗せて、入口を通り、途中のスクリーンに入る。映画館か、久しぶり。いつぶりだろう。

 何か見たい映画があるわけじゃなくて、デートっぽいことをしてみたいって恥ずかしくも伝えると、森高さんはずっとニコニコしながらうんうん、と頷いてくれた。やはり、こういう言い方をしたのは……間違っていたか、いつまで経っても恥ずかしさが消えやしない。

 森高さんが車を運転してくれて、今いるのは、駅近くの大きなショッピングモールである。ショッピングデートとなるものを、俺は森高さんと一緒にしてみたかったのだった。