純くんは戸惑っているようだ。

「此処へ来る途中、ホテルがあったよね。そこで一泊しようよ」

これまで、散々焦らしてきたのに、自分でも何を言っているのかと思う。

「だけど…」

「私、そんなに魅力ない?」

わざとそんな言い方もした。

「まさか!あまりに突然だから、びっくりしただけだよ」

純くんの運転する車は、少し躊躇いがちに、無駄に派手なホテルへと入っていった。

「よかった、空室あるね。純くん、せめて今夜は一人にならないで。心配で仕方ないの…」

そう言うと、純くんは切なげに私を見つめた。