「た、田沼先生、目、さめましたあ」
 と、近藤。
 「あ、近藤さん?」
 田沼。
 「よかった」
 と、近藤。
 近藤はこほんと、咳払いした。
 「じゃ、じゃあ、あらためて、明日は野いちご町の夏祭りです。野いちご町野いちご神社一体で行われます。当日はわが校の生徒もたくさん来ると思われます。ですから、我々はわが校の生徒が人様に迷惑かけないように、監督しに行くわけです」
 「つまりい、そこで人様に邪魔になるとこでたむろしているわが校の女子生徒とか、食べ物をくいちらかしているわが校の女子生徒とか、バッグを置きっぱなしにしたり、はしゃいだり、べちゃくちゃしゃっべっているわが校の女子生徒とか、ふざけたことを言い、周囲に反感買う態度をとっているわが校の女子生徒とか、だらだら深夜までくっちゃべっている女子生徒とか、人様に迷惑かけないように、はりに行けばいいわけですね」
 と、田沼が言った。
 近藤はこほんと咳払いした。
 「ま、まあ、そうですけどお、田沼先生はちいっと女子生徒に厳しいと評判ですから、ほどほどにというかあ」
 と、近藤。
 「ですが、彼女らをほおっとけば、何しでかすか、わからない。しかも祭りで彼女らははしゃぐはず。はめはずして、人様に迷惑かけたり、(いか)らせたり、むかつかせたり、トラブル起こしたり、するかもしれない」
 と、田沼はいった。
 「まあ、それはそうですが、あんまり厳しくしすぎると、かえって冗長される恐れもありますので、そこは大人の寛容というかあ」
 と、近藤。
 田沼は目をつむった。
 「はあ、わかりました」
 と、田沼。
 「じゃあ、そういうことでお願いします」
 近藤はいった。
 近藤は咳払いした。
 「えー、では明日、野いちご神社境内に8時に集合ということで」
 と、近藤はいった。