蓮見直月(はすみなつき)はデビット・カラスにバンパイア退治を教わることとなった。
 「私がバンパイアハントを教えます」
 「はい。カラス先生」
 カラス先生は黒衣だった。
 射撃場。
 直月(なつき)はおもちゃのようなピストルを渡された。男児が持っているようなやつだ。
 「これが・・・・・・」
 直月はまじまじとピストルを見つめた。
 「一見おもちゃのように見える。警察に見られても大丈夫だ。取り調べられてもおもちゃとしかとれないようになってる」
 と、カラス先生はいった。
 「ハイリッヒ・ゲベーア(神聖銃)という。これが対ヴァンパイア兵装というわけだ」
 直月はてっきり、銀の弾丸を渡されるものと思っていた。
 カラス先生はピストルをとった。
 「見ていてください」
 カラス先生はピストルを構えた。手首からバンパイアハンター十字のついた鎖、ロザリオがさがった。
 「せ、先生、銀の弾丸は?」
 「あ、そうか。大丈夫です。弾(たま)はいりません」
 「え?」
 「大気中に満ちる聖霊を使うのです」
 「え?」
 「よーく見ていたまえ」
 と、カラス先生はいった。直月はじっと見た。何が起きるんだ。すると、カラス先生のピストルの先に銀色の光が集まりだした。直月はびっくりした。
 「今、大気中の聖霊を銃の中に集めている」
 と、カラス先生。
 すると、ピストルの先が銀色に光った。
 カラス先生は引き金をひいた。ばんとでかい音がして、ピストルから銀の弾丸が飛ぶのが一瞬見えた。直月はびっくりした。
 的を見ると、ど真ん中が撃ち抜かれていた。
 「す、すごい」
 と、直月。
 「これが、聖霊の弾丸、ハイリッヒ・クーゲル(神聖滅弾丸)だ」
 「はい」
 カラス先生は直月を向いた。
 「君もやってみなさい」
 「は、はい」
 といっても一体どうやってやるのか、直月にはわからなかった。とりあえず、ピストルを構えた。手首からヴァンパイア十字のついたロザリオがさがった。
 「意識を集中しなさい」
 と、カラス先生。
 「は、はい」
 直月は目をつむった。
 「全身に大気中の聖霊を感じるのです」
 と、カラス先生。
 「はい」
 直月は意識を集中した。大気中の聖霊。直月は目をつむった闇の中で聖霊を感じた。自分の身の回りにある銀色の粒子のようなものを。
 「うむ。どうやら聖霊を感じているようですね」
 と、カラス先生。
 「はい」
 「では、そのイメージした聖霊をピストルに集中させるのです」
 直月はイメージした。
 銀色の粒子が、ピストルの銃口に集中していく。直月は目を開けた。直月はびっくりした。銃口が銀色に光っていた。
 「うまいです。さすが直月。センスありますね」
 と、カラス先生はにっこりしていった。
 「はい」
 直月。
 「その調子です。さあ、的をよく見て」
 「はい」
 直月は的を見た。
 「引き金を弾くのです」
 「はい」
 直月は深呼吸した。