蓮見直月(はすみなつき)は黒の十字団に所属することとなった。ヴァンパイアサービスというヴァンパイアを退治するものたちの組織である。手首にはシルバーの十字架のついたシルバーの数珠(じゅず)、ロザリオを巻いている。武器はピストルだ。人目からは男児が持っているようなおもちゃの鉄砲に見える。

 蓮見直月は青いショートヘア。目は切れ長。きりっとした眉。シャープなフェイスライン。精悍(せいかん)な顔立ちをしていた。背丈は178センチ。きちっとした感じだ。
 誕生日6月29日。

 直月は野いちご市にある黒の十字団の教会に迎えられた。

 教会。
 屋根に十字架がたっている。
 お城のような教会だった。
 教会内。だだっぴろい空間。
 一番前に説教台がある。その前には椅子が並んでいた。
 説教台に黒衣の男がいた。手首にはシルバーの十字架のついた数珠。
 灰色のもじもじゃの髪。色眼鏡をかけている。切れ長な目、蒼(あお)い瞳をしていた。鼻は高かった。浅黒い。背は高い。180くらいあった。線は細いが筋肉質だった。
 「やあ、直月(なつき)」
 と、黒衣の男はいった。
 「はい」
 と、直月。
 「私がデビット・カラスだ」
 「はい」
 「ヴァンパイアサービスの指揮官だ」
 「はい」
 「あと、君にヴァンパイアハントを教える師でもある」
 「はい。ではカラス先生と呼ばせてもらいます」
 「うむ」
 「では、これを」
 と、カラス先生は上に銀のハートのついた銀の十字架(ハートクロス)のついたシルバーの数珠を直月に渡した。直月はそれを受け取った。
 「手首にまきなさい」
 と、カラス先生。
 「はい」
 と、直月。直月は十字架のついた数珠を手首にまいた。
 「これはヴァンパイアハンター♡十字(ハートクロス)といって、ヴァンパイアハンターのしるしだ」
 と、カラス先生。
 「これを持っていれば、ヴァンパイアはヴァンパイアハンターだと認識する」
 「はい」
 「ヴァンパイアはヴァンパイアハンターのシルシであるこのハートを狙ってくるんだ」
 「はい」
 「では、仲間を紹介しよう」
 と、カラス先生。
 カラス先生は右を見た。
 「入り給え」
 と、カラス先生はいった。
 右にある部屋から、黒いタイトのワンピーススカートをはいたスレンダーな女性が出てきた。つややかな漆黒の髪をしている。
 そのあとに、金髪(ブロンド)のさらさらヘア、碧眼の美少年が出てきた。痩せている。
 そのあとに大柄な黒人の男が現れた。筋肉隆々としていた。
 それから白衣の金髪(ブロンド)で、ストレートの髪を後ろで束ねた大人っぽい女性が現れた。長い前髪が真ん中で分かれていた。中肉中背。
 4人はカラス先生の横に並んだ。
 「では、仲間を紹介しよう」
 と、カラス先生。
 「すぐ右の女性はキム・ジヨンという」
 と、カラス先生が紹介した。
 キム・ジヨンは直月の前に出た。ジヨンは前髪が目にかからない程度。キュートな顔をしていた。いい匂いがした。直月は赤くなった。
 「初めまして。私はキム・ジヨンといいます」
 韓国人なまりでいった。
 とジヨンは手を差し出した。なめらかできれいな手だった。腕には、ロザリオ。
 「は、初めまして、蓮見直月です」
 と、直月はいって、ジヨンと握手した。直月は赤くなった。直月は手を放した。ジヨンは下がった。
 続いて、金髪碧眼の美少年が出てきた。鼻が高かった。切れ長なやさしそうな目をしていた。虫も殺さぬ感じであった。フェイスラインはシャープ。
 「初めまして。僕、シャルル・アズナアブルといいます」
 と、シャルルといった少年は言った。色白の少年だった。
 「は、初めまして」
 と、直月はいった。
 「僕、半バンパイアなんだ」
 と、シャルルはいった。
 「ええええええええええええ」
 「安心してかみつかないから」
 と、シャルル。
 「その通り、彼はかみつかない」
 と、カラス先生。
 「その通り、彼はかみつかない」
 と、大柄な黒人が野太い声でいった。
 「彼はかみつかない」
 と、白衣の金髪の女性がいった。
 「僕は選んだんだ」
 と、シャルル。
 「選んだ?」
 と、直月。
 「人間の側を」
 と、シャルル。
 「そ、そんなことが」
 と、直月。
 シャルルはにっこり笑った。
 「存在の自由、存在選択の自己決定権というやつだ」
 「そ、存在の自由、存在選択の自己決定権!!!!!」
 と、直月は驚いた。
 「ま、まあ意思能力が足りず、半分ヴァンパイアだけどね」
 と、シャルル。
 「はあ」
 「血は吸わないけど、ドクターに血清をうってもらわないといけない」
 と、シャルル。
 「そ、そうなんですね」
 「よろしく」
 と、シャルルがいった。
 「よ、よろしく」
 と、直月。
 シャルルは下がった。
 次にいかつい黒人が出てきた。直月はちょっと怖かった。
 「直月、私はマーティン・キングという」
 と、マーティンと名乗った黒人は野太い声でいった。
 「は、初めまして」
 と、直月はいった。
 「よろしく」
 と、マーティンはいった。
 「よろしく」
 と、直月はいった。
 最後に白衣の金髪(ブロンド)の女性が出てきた。
 「はあい。直月」
 と、女性。スマートで線は細いが筋肉質であり、しっかりした感じだった。
 「初めまして」
 「私は、ミシェル・クイーン」
 と、女性はいって、手を差し出した。直月は赤くなった。直月はそーっと手をだし、クイーンと、握手した。
 「クイーンはドクターなんだ」
 と、カラス先生。
 「はい。私、ドクターです」
 「じゃあ、クイーン先生」
 と、直月。クイーン先生はにっこり笑った。直月は照れた。クイーン先生は下がった。