ミホは女子高生だった。ダンスクラブにいりびたっていた。クラブといっても高校生の利用者が多く、酒類は置いてなくて、夜11時には閉店するとこだった。結構安全なクラブだった。同じクラスに郁夫(いくお)という男子がいた。金髪で長髪さらさらヘア、後ろ髪をくくっていた。前髪が長く、真ん中でわけていた。目は切れ長で青かった。
 「不良」とか「あんなヤンキー」とか陰口をたたかれていて、学校では浮いた存在だった。ミホは郁夫(いくお)が気になっていた。
 ミホもいつも独りだった。郁夫もいつも独りだった。あいつも独りだ、とミホは思った。