◯学校からの帰り道(放課後)

 文化祭の練習も大詰め。杏奈は自分の演奏に納得が行かず残って練習していた。美玖・里菜・結衣には先に帰ってもらった。集中して練習していると時間を忘れる。

 顧問「まだ残っていたのか。もう遅いから帰りなさい」
 杏奈「え??もうこんな時間?」

 驚き慌てて片付け学校を出て駅に向かう。いつも美玖達と寄り道するコンビニの前には、制服を着崩した他校の男子生徒が溜まっていて、こちらを見ている。

 男①「ねぇねぇ。一緒に遊ばない?」
 男②「めっちゃくちゃ可愛いぞ」
 男③「ホントだ。カラオケ行こうぜ」

 俯き通り過ぎようとした杏奈を取り囲み、下から顔を覗き込み強引に連れて行こうとする。

 杏奈「止めて下さい!」

 断るも全く聞いてくれないどころか、男①に手首を掴まれ引きずられそうになる。

 コンビニ店員「おい。離せ」
 男①「はあ?お前に言われる筋合いはない」
 コンビニ店員「嫌がってるのがわからないのか?」
 男②「こいつ偉そうだな」
 男③「やっちゃっていいの?」

 男③が①に質問をするも、答えを聞かないままコンビニ店員に殴りかかる。この中では男①がリーダー格だと思われる。

 コンビニ店員「正当防衛だから、後で文句言うなよ」
 男③「偉そうなこと言えるのも今だけだ」

 捨て台詞をはき、コンビニ店員に襲いかかる。そこからがコンビニ店員の本領発揮だ。

 男③「グエッ」
 男②「オラッ、ウワァ」
 男①「お前何者だ!」
 コンビニ店員「ただのコンビニのバイトだ。まだやるか?」
 男①「おい、お前ら行こうぜ」

 敵わないと気づき逃げていく男達。コンビニの前には店員と杏奈。

 杏奈「ありがとうございました」
 コンビニ店員「ああ」
 杏奈「何かお礼をさせて下さい」
 コンビニ店員「いいって言いたいところだが、ちょうどいい。俺とつき合え」
 杏奈「はい?」
 コンビニ店員「それは了承したってことだな」
 杏奈「へ?」
 コンビニ店員「仕事中だからまたな」

 話が噛み合わないまま、店員が店内へ戻ってしまう。残された杏奈は今の会話を思い出し戸惑う。

 (お礼をしたかったのに、つき合うって何?どこにつき合うの?)

 訳の分からないまま家路につく。後にコンビニ店員の正体を知り驚くことになる。