〇生徒会室(昼休み)

 生徒会のメンバーは、教室にいると女子にきゃあきゃあ騒がれてしまう。煩わしさを避けるために昼休みは必ず生徒会室で過ごす。それ以外の空き時間も生徒会室で過ごすことが多い。

 佑真「なんか面白いことないかな~」
 颯太「佑真のいう面白いことってなんだ?」
 佑真「イベント?」
 颯太「それならそろそろ文化祭の準備が始まる」
 佑真「それはそれで面倒だな」
 晴斗「かわい子ちゃんいるかな?」
 佑真「ホントだよ、かわい子ちゃん探ししたい。俺達いつもここで溜まってるから知り合うことないよな」
 晴斗「奏天、コンビニにかわい子ちゃん来ないの?」
 奏天「……」
 晴斗「今誰か思い浮かべたんじゃない?」
 奏天「晴斗煩い。ろくな奴いない(一人を除いては……)」

 素顔を隠してキモいと言われる姿の奏天にも、変わらず愛想の良い彼女の姿が思い浮かぶ。

 颯太「それにしても驚いたよな。天下のヤマト財閥の御曹司の奏天が突然バイトを始めたんだから」
 奏天「社会勉強だ」
 佑真「そのままの姿でバイトしたらモテモテなのに、よりによってあの姿はないわ」
 奏天「モテたくてバイトしてるわけでもないし、あの格好の方が人間の本質を知ることができる」
 颯太「確かに、生徒会の俺達に近づいてくる奴らは猫かぶってるからな」

 幼馴染で容姿の整った四人には、いつも下心のある者たちが寄ってくる。
 誰もコンビニでバイトしているマスクの男が、学校一のモテ男だと思いもしていない。
 何れはヤマト財閥を背負うものとして、経験を積みたいと始めたバイトは、思いのほか学ぶ事が多く面白いと感じている。