〇花火大会(生徒会室)

 収集がつかなくなり、生徒会メンバーに連れられ生徒会室まで来た杏奈。何がどうなってこの状況になったのかが理解できない。一瞬にして杏奈の平穏な学校生活が奪われた。一気に噂は広まるだろう。

 生徒会室にあるソファに座るように言われたが、杏奈は居心地が悪い。
 
 颯太「奏天どういうことだ?」
 奏天「そのままだ。杏奈とつき合ってる」
 杏奈「そんなつもりじゃあ」

 ここで反論しておかないと、後戻りできないと必死だ。

 奏天「はいと言っただろう?」
 杏奈「そんな……」
 晴斗「そもそも、奏天はどうして杏奈ちゃんだっけ?とつき合おうと思ったんだ?」
 奏天「好きだから」
 杏奈「ええ⁈」
 晴斗「杏奈ちゃん本人が驚いてるってことは、どんなシチュエーションでそんな話に?」
 奏天「はあ?杏奈が他校のやつに絡まれてて助けた。で、つき合おうと言った」
 颯太・晴斗・佑真「はい?」
 杏奈「皆さんも疑問に思いますよね!だから、はい?と聞いたつもりが……」
 佑真「奏天の中で『はい』になってたと」
 杏奈「はい」

 颯太・晴斗・佑真「ブハッ、アハハハハ」

 笑い転げる三人と不機嫌な奏天、どうしていいかわからない杏奈。

 颯太「杏奈ちゃん、災難だったね」
 奏天「はあ?何が?」
 颯太「他校生に絡まれて助けてもらったら、コンビニのバイトに絡まれて。しかも、あの姿の奏天だろう?」
 奏天「……」
 杏奈「えっ?コンビニの店員さんとしてはとてもいい人だと思ってました。まさかの生徒会長なことに驚きで」
 晴斗「えっ?あの姿見て何とも思わなかったの?」
 杏奈「え?いつも一生懸命働いてて偉いなと」
 颯太・晴斗・佑真「……」

 奏天もぶっ飛んでいるが、杏奈もなかなかの天然ぶりにお似合いなんじゃないかと思い始める。

 佑真「杏奈ちゃん彼氏は?」
 杏奈「へ?いませんが……」
 佑真「奏天はダメ?」
 杏奈「はい。私には釣り合いません」
 佑真「ブハッ。はっきり言うね」
 奏天「お礼をしたいんだろう?」
 杏奈「へ?ま、まあ」
 奏天「俺は諦めるつもりがないから、覚悟してくれ」
 杏奈「ええ……」

 奏天にロックオンされ、全校生徒に知られることとなった杏奈に逃げるすべはない。