〇学校から駅までの道(放課後)

 部活終わりの杏奈と美玖、里菜、結衣。
 吹奏楽部の仲良し四人組。いつも一緒に帰っている。

 美玖「今日も生徒会の先輩達かっこよかったね」
 里菜「うんうん。遠くから見てるだけでドキドキする」
 結衣「私は佑真先輩が好き!」
 美玖「私は晴斗先輩!わんこ系で可愛くない?」
 里菜「私は颯太先輩かなぁ。イケメンメガネ男子」
 美玖「奏天先輩は完璧過ぎて遠い存在だよね」
 結衣「わかる~顔良し、頭良し、それでヤマト財閥の御曹司なんだよ。私達には遠過ぎる」
 美玖「杏奈は?」
 杏奈「へ⁈」
 里菜「また、興味ないって顔してる……」

 生徒会の先輩の話で盛り上がる中、杏奈だけが聞いているだけだ。
 女子が集まれば話題になる学校中が憧れる生徒会のメンバー。

〇駅前のコンビ二(放課後続き)

 店内は、学校帰りの高校生が何人かいる。
 レジに立つのは、長めの前髪にマスクをした長身の男性。杏奈も週に何度かバイトをしている姿を見掛ける。

 店員「次の方どうぞ」
 美玖「……」
 店員「172円になります」
 美玖「……」

 杏奈(なんで美玖はいつも無言で返事もしないのだろう?)

 杏奈「お願いします」
 店員「はい。194円になります」
 杏奈「じゃあ204円で。あっ、袋要らないです」
 店員「10円のお返しになります」
 杏奈「ありがとうございます」

 商品を受け取り待ってくれていた友達の元に行く。

 美玖「あの店員キモくない?」
 里菜・結衣「「だよね~」」
 杏奈「ええ⁈真面目でいい人じゃない。丁寧だし」
 美玖「生徒会のイケメンには興味示さないのに、杏奈変わってるね」

 四人の会話は、店員にまで筒抜けだった。まさか聞こえているとは思っていない。