「午後からの仕事、私全然集中できてなかったので……てっきりそのことかと思っていたのですが」
「違う違う。川口さん、本社移動したいって前に言ってたの覚えてる?」
「――は、はい!」
「エリア長に話したらさ、本社の社員に話を流してくれて、川口さんをどうかって話になってるんだけどどうする?」
「いっ、行きたいです!!」
間を開けずに即返事をする。だってこんな機会、もう二度とない。普通に働いたところで、接客に配属された人間が本社移動できるわけない。
嬉しさのあまりに涙が込み上げてくる。そんな私を見た店長は「言うと思った」と微笑んだ。
「いっやー、寂しいなー、川口さんがいなくなるの凄く寂しい。でも、せっかくの貴重な話だもんね。イヤになったらいつでも戻ってきていいから、頑張っておいで」
背中を押してくれる店長に感謝しかない。
――改めて思う。ここで働いて良かった。
「はい、話し終わり! 今日はもう帰りな」と、私を気遣う店長のお言葉に甘えて先にお店を後にする。
バッグから取り出したスマホに目を向けると、悟から『終わった?』と、連絡が入っていた。



