報われたい独占欲は、狂気のソレ



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「川口さん、表情消えてるよ? 仕事中なんだから、ほら、声も出して」

「はい、すみません……」


 無の表情で店頭に並べられている商品のストックを棚下から補充していると、頭上から店長に注意を受けてしまった。


 長谷川奏人という男にあんなことを言われて、午後の仕事なんて手につくはずがない。でも今は仕事中。私情でイヤなことがあったからと言い訳できるわけがない。


 スウっと息を吸い、昼間のことを忘れようと仕事に励んだ。そしてなんとか無事に業務を終え事務所のイスに深く腰掛ける。


「今日もお疲れ。で、川口さん。この後話があるんだけど時間いいかな?」


 店長から呼び出しを食らった私は、このあとこっぴどく怒られる覚悟を決めた。他の従業員がいなくり、デスクでパソコン片手に作業をしている店長に「あの……今日は本当にスミマセンでした」と先手を打って謝る。


 店長はあっけらかんとした表情で、

「え? 今日?」

と私に質問をし返した。


 …………てっきり怒られるものとばかり思っていたのに、違うんだろうか。