「あなたが言っていることが本当だとしても、今は答えられないです」
「なんで? なにが答えられないの?」
「私だけじゃ決めれないです。ちゃんと話してみないと」
「話し合ったところで言いくるめるられるだけだよ? オレも話し合いに加わろうか?」
……………………は? いやいやいや、余計なお世話すぎる。
「いや、さすがにそれは……」
「でも川口さん、なんだかんだカレシに甘そうだし」
「いや、大丈夫です、本当に」
『オレも話し合いに加わろうか?』って理解ができない。
カレシとの待ち時間まで把握されて、私のアパートに行くことも知られてしまっている。
恐らく昼休憩になると、ここのうどん屋さんにくることも知られていたのだろう。
上手く言えないけれど、今回の浮気の報告は善意ではない。
席を立ち上がると、男から『待って』と呼び止められた。
「オレ、長谷川奏人」
「……………はい」
「明日もこの時間に待ってるから」



