「教え込むなんて無理です。だって私……あの、いい加減帰ります!」
意地になって『不感症だから』と言おうとしたけれど、耳だけでこんなに気持ちよくさせられてるんだ。長谷川さんに対しては「不感症だから」と言い訳はできない。
なんでここにいるのか分からなくなり、ベッドから降りようと移動する。すると、またしても隣から「悟くん」と甲高い声が聞こえてきた。
――悟? いま、悟って言った?
「そういえば凪のカレシって『悟』だったよね」
固まる私の隣で長谷川さんは絶対カレシだよと私に言い放つ。
「……そうかもしれないですね」
「隣の部屋でカレシがヤってるんじゃ気が気じゃないね。帰ろうか。送ってく」
「…………」
このホテルに入ったのは分かっているのに、あの女を抱いているかもしれないところを目の当たりに聞くと、心臓が押しつぶされそうだ。



