飲食店に入ったからといって、あれが友達なんかじゃないのは見て分かる。けれど、長谷川さんの案に乗らないと諦めてもらえる瞬間を逃してしまう気がした。
長谷川さんと悟の尾行を続けていると、悟が女と行き着いた場所は飲食店でもなければ、家でもなかった。
二人が入っていった場所は外観から高級感が漂うホテルで、二人がホテル内に入っていく姿を長谷川さんはスマホで撮っていた。
「あーあ、ここ、ラブホテルだね」
……ラブホテル。
……………そんな……ずっと一緒にいようって言ってくれたのに。浮気はしないって信じていたのに。
膝から崩れる私を見兼ねて、長谷川さんは『背中に乗って』と、私の前に屈んで背を向けてきた。
何も考えられなくてそのまま長谷川さんの背中に身を預ける。
私はこれからどうすればいいのだろう。
長谷川さんに体を預けたまま、ぼんやりした視界をただただ眺めていると、長谷川さんは悟と女が入って行ったラブホテルに足を踏み入れた。
「えっ? まって!! やだ! 戻ってください!」
今足を踏み入れたら悟と鉢合わせてしまうかもしれない。
この期に及んでも浮気をされていたことを受け入れたくない私は、長谷川さんに足を止めてほしくてグーで肩をポカポカと何度も叩く。
「大丈夫だって。凪、変装してるしバレないでしょ」
「じゃあなんで中に向かってるんですか……」
「ちゃんと証拠を掴まないと」



