報われたい独占欲は、狂気のソレ



「もうやだ。下で、人が見てるから……」

「見てないよ。誰も見てない」


 私が何度も「人が見てる」と伝えるけれど、悟はそれどころではない。


 必死に早く終わってと思っていると、悟は気が済んだらしい。私の肩で必死に息をしている。


 そして余裕ができた隙に、

「……で、下がなんだって? 誰もいないけど」

 私に質問をしてきた。


 再び急いで下に目を向けると、もう長谷川奏人の姿はなかった。


「ご、ごめん。誰もいない……」

「はー、よかったわ。いつもより数倍よかった。次もまたベランダでシような」


 先に部屋に戻った悟は『凪ー少し横になろうー』と、部屋の中から私を呼ぶ。


 もう一度ふと下を見るも、やっぱり長谷川奏人はいない。考えすぎて幻覚でも見てしまったんだろうか。


 部屋の中に戻った私は、悟と一緒にテレビを観る。


 『いつもの数倍よかった』と言ってくれたけど、私は体を重ねる行為に一度も気持ちいいと思ったことがない。