離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


領地改革を始めるうえで、ジェニットに最初に言った言葉だった。エドワードがふっと笑う。


「そう、まずは金だね」


金を集めるのは、何かを大きく変える下準備だと、二人は話し合わずとも通じ合える。エドワードは水面下で着々と求婚の試練をこなしているのだ。


エドワードが何度も何度もザラの手をぎゅっと握ってはゆるめて、ぎゅっと握る遊びに精を出していた。


「それにしても、我の部屋はこんなに遠かったかの?」

「今日は特別遠いのかもね」


豊かな黒髪を耳にかけ直したザラは、義足に気を使ったにしても階段の上りにかかる時間が長いことを察していた。


「誰かさんのせいでの」

「さあ、誰のせいかな?わかんないなー」