しかし、リベルタ一族は儲けを振りかざすことをしない。豊かでありながら、慎ましく森の中で自由気ままに暮らすのがリベルタ族の粋なのだ。金はただの道具で執着など全くない。
ジェニットは手の中の指輪をじっと見つめた。指輪の内側にはザラの名前が彫ってある。たった1日の結婚生活のためにエドワードが用意した結婚指輪であった。
「この指輪って誰かからの贈り物ではないですか?ザラ様」
ザラは焦げ茶色の目を細めて、口端を上げた。
「幼馴染からじゃ。気にするな」
「気にしますよ!」
「奴は指輪を売り飛ばしたくらいで恨み言を言うほど小さい器ではない。次は国でも贈ってきそうな勢いじゃからの」
「く、国?ザラ様の幼馴染様……聞くだけで凄い方です」



