ザラは背中を石壁に追いつめられ、これ以上下がることができなくなった。エドワードはエスコートで重ねた手をぎゅっと握りしめる。反対の手を壁に押し付け、ザラを石壁と自身の間に閉じ込めた。
「我を壁ドンするのは、そなただけじゃな」
「ふざけないで、答えて。ザラ。何をしたの?」
石壁とエドワードに挟まれて身動きできないザラが、鈍く光る真っ青の瞳を見上げる。エドワードの目から声から熱い手の平から、エドワードの静かで濃い怒りが伝わってくる。
(何をそんなに怒っておるのか知らんが)
ザラは珍しいエドワードの怒りに、好奇心が湧いてしまった。
(その顔はからかいたくなるの)
エドワードが何をしようが、ザラからすれば怖いと感じることはない。エドワードはいついかなる時でも必ず、このザラを愛しているからだ。
ザラは自由な手の指先で、エドワードの頬をつつつと撫でて笑った。
「我が名を変えてきた」
「名前を?まさか」
「今の我は、ザラ・ハミルトンじゃ」



