離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


王城に帰宅したエドワードは実に静かだった。最低限しか口をきかず、窓辺に椅子を置いて頬杖を突き、じっとりと青い空を睨み続けていた。


(兄様、怒ってますね)


窓辺で佇むエドワードを見つめるルドルフは、兄が本気で怒ると黙ってしまうことを経験上知っていた。実の弟であるルドルフが知る限りでも、静かに本気で怒ったことは片手で数えるほどだ。


その一回はザラが足を失くした時である。


エドワードが自身へ向けた怒りであったが、昨今のエドワードはその域に達する。静かなエドワードは、非常に怖い。


ルドルフはザラ専用伝書鳥が良い知らせを運んで来て、ホッとしていたところだった。やっと落ち着けるかと思ったのに、こっちではエドワードが激オコである。


ザラから内緒にしておくようにとの依頼もあり、板挟みにされるルドルフは背筋が冷たかった。


この激オコのエドワードに対して、ルドルフはこれからさらに怒りを買う案件を告げるようにザラから命令されている。



「兄様、お疲れのところ申し訳ないのですが……」