ジェニットが両腕を広げて閉じて広げて閉じてと繰り返して、広い大地を感じる。
「なんのしがらみもなくて、本当にどこへでも自由に行けちゃったら、私は迷っちゃって不安になります」
空を見上げたジェニットには、大地の遠く上を飛ぶ自由な鳥が不安げにも見える。
「自由過ぎて帰ってくるところも、行き先もなかったら、ただ寂しいです」
ジェニットに倣って、ザラも青い空を見上げる。一羽で飛ぶ鳥は、自由なのか、孤独なのか。
「こうドシッと真ん中に重いものがあるからこそ、そこを軸に安心して自由でいられる気がします」
ジェニットが隣のザラを見て、嬉しそうに頬を持ち上げる。ザラはジェニットが不自由にはまるで思えなかった。
「私はハミルトン領のみんなが真ん中でドシッとしてくれてるから、安心して自由に挑戦できます。
だから、領主の責務は私に必要な重み、必要な不自由です。
自由だから幸せ、不自由だから不幸せってわけじゃないですよね」
ジェニットの花の咲き誇るがごとく輝かしい笑顔が弾ける。
彼女は領民に囲まれ、朗らかに笑い、守るもののために全力で奮闘する。
彼女は逞しく、自由で、そして幸せそうだ。
ジェニットの笑顔に絆されて、ザラも笑みに満ちる。



