久しぶりにハミルトン領に降り立ち、見回りをするジェニットと共にザラはコツコツ足音を鳴らして畑の周りを歩いた。モミ葉はすっかり収穫されて、今、畑には土しかなかった。
「ザラ様と初めて出会ったのはこのへんですね」
「そうじゃったな。良き風の出会いじゃった」
「ほんとに!」
ジェニットがあの日薄汚れた顔をして出会ったことを思い出す。あの時から、ザラはいついかなる時も偉そうだ。思い出し笑いをするジェニットの隣で、遠く見渡す限り広大な畑を前にザラが口を開いた。
「ジェニットは、領主の役割を重く、不自由だと思ったことはないか?」
即断即決のジェニットが間髪入れずに笑った。
「そんなのめちゃくちゃあります。重すぎて、不自由です!投げちゃいたい!っていつも思ってました」
ジェニットが背負ってきた広い大地を見つめる。大地を包み込むようにジェニットが細い両腕を広げた。
「でも、その重みがあるから、自由で幸せでいられるのかなって思ってます」
「重みがあるからこそ、自由で、幸せ?」



