新聞をぐちゃぐちゃにつかんだエドワードが、議会室で忙しくしているルドルフの首根っこを捕まえた。
「ちょっと、なにこれ?!」
新聞を手にしているエドワードに、ルドルフはバレたと冷や汗が浮かんだ。
「これ!まさか、ルドルフが情報漏らしたの?!え、そんなことある?!お前が僕を裏切るなんて信じられない!」
裏切りという言葉にルドルフは胸を引き裂かれるほど痛んだ。
エドワードが王でいて欲しいために、ルドルフがエドワードを裏切ったのは事実だ。ルドルフの目に涙がこみ上げた。大好きな兄に迫られると辛い。
「申し訳ございません兄様、これには事情が」
「どんな事情?!こんなことしたら、ざまあ計画がとん挫するのお前ならわかるよね?」
瞳孔かっぴらきエドワードの追求に、ルドルフが観念して本音を零す。
ずっと兄を尊敬してきた。兄の言いなりになるのが大好きだった。
優しい兄は「一生の一度の願い」を聞いてやると、ルドルフにもいつも優しかった。
ルドルフは兄が大好きで大好きで、その願いをずっと大事に胸に置いてきた。
誰しも一生に一度の願いを頻繁に使う世の中なのに、ルドルフは本当にこれまで一度もこの言葉を使ったことはなかった。
「一生に一度の、お願いです兄様……」
ルドルフが初めてその言葉を使ったことに、エドワードも気がついた。それだけ、この願いは切実だということだ。
「国王でいてください」



