離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


獣も震えるほど覇気のあるザラの声で、一喝が響き渡った。


「『早いが大事』に決まっておろうが!!」


ザラの一喝に背筋が伸びきるルドルフとヨハンは固まった。ジェニットも胸の前で両手を組んで立っているのがやっとである。


「よく考えるのじゃ。原料はどうあってもモミ葉。最悪の結果として効かなくて死ぬだけじゃ」

(((最悪の結果がヒドい!)))

「ザラはいつだって最高だね。どうしたって愛してるよ」


エドワード以外の三人はドン引きし続けていたが、エドワードは笑っている。


「エドで早く試すがよい。今から実験人体を用意する手間が省ける」

「し、しかし……」


煮え切らないヨハンにザラがコツコツと攻撃的な音を鳴らして近づいてくる。ザラより数倍はデカいヨハンは思わず腰が引ける。


「ヨハン、そなたはこの薬に自信があるのだろう?」


ザラがギラついた目で一歩一歩と詰め寄ると、ヨハンは試薬のゴブレットを持ったまま一歩一歩と後退していく。


「ジェニットとの約束を胸に作ったのであろう?」


ついに壁際に追い込まれた屈強な男ノアは、自身よりめちゃくちゃ小さくて威圧感のデカい女に下から壁ドンをくらう。ドキドキが止まらなかった。ものすごく怖くて。


「まさか毒をつくったのか?」

「そ、そんなわけありません!お嬢様に誓って試薬には自信があります!」

「では使おう。そなたは我が信用するジェニットが、心から信用する男じゃ」


ザラがエドワードをふり返って目配せする。エドワードは高熱で荒い息をつきながら片手を上げた。


「薬を持ってきて」

「それでこそ国王じゃ」