離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


ザラは低い声でそれだけ言うと義足をコツコツ言わせて去って行った。

あまりにあっさり去って行くザラを見送ったジェニットはヨハンに事情を説明する。


「ヨハン、実は国王様が倒れたの」

「国王様が?!」

「そうなの、時間がないわ」


流行り病は発病して10日で亡くなる確率が非常に高い。エドワードがすでに窮地にあることをヨハンは瞬時に理解した。


「こんな状況で国王様がなくなったりしたら、国は路頭に迷うわ」


突然の事実に動揺したヨハンだが、深呼吸をして落ち着く。医者たるもの冷静沈着な状況分析が肝だ。


「お嬢様、エドワード様は悪評が目立ってますが、改革を推進しておられるのはご存知でしょうか」


ヨハンがジェニットに国王の価値について投げかける。ジェニットはにっこり笑って自信たっぷり頷いた。予習は万全だ。


「ええ、やり方は変わってるけど、目指す未来は素晴らしいわ」

「そうです。有事においてこんなに素早く隔離場所の用意もされ、金も惜しまない。本当に尊敬するお方です。あの方が亡くなっては困ります」

「そうね。私たちにはエドワード国王様が必要よ」