「忙しくてね。悪いけど、ザラでも入れてあげられないよ。わかってると思うけど、ここは危険だから」
「我が無策で来たと思うか?」
「……聞こうか」
エドワードはふぅと息をついて馬車に背を預けた。弱々しいエドワードの態度に気がつくが、ザラは口上を始める。正当な理由を持って王都に入らねばならない。
「この流行り病の特効薬になるヒントを見つけた」
「本当に?」
エドワードの真っ青な目が見開いて期待を灯す。ザラが黒髪を背中に流し、星形をしたモミ葉を一枚手に持って前に掲げる。
「モミ葉じゃ」
「ここでなんでモミ葉?」
「この状況下でハミルトン領民には感染者ゼロ」
感染者ゼロの領があったなんて、エドワードも見逃していた。毎日うなぎ上りの感染者数を追うより、対策に手いっぱいだった。エドワードはザラの貴重な情報に食い入る。
「たしかに偶然にしては出来過ぎだね」



