離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


「お供します!」


ザラのきゅんきゅん乙女モードよりもピンチに現れる騎士モードを感じ取ってしまうジェニットであるが、かっこいいザラ様にお供する気満々だった。


「悪いが、この領にあるものを全て吐き出してもらうことはできるかの?」

「人の命がかかってます!当たり前です!ザラ様!」

「ハミルトン領は大赤字じゃぞ?」


ジェニットが胸をどんと叩いて、自信満々に笑った。彼女はとても大きくなったとザラは感じる。


「またがんばります。ハミルトン領は強いですから平気です。

みんな元気なら!

みんな健康なら!

いくらでもやり直せます!」


ジェニットの言葉が頼もしく、ザラはジェニットをぎゅっと抱き締めてしまった。ジェニットもザラにぎゅっと抱きついた。


「ジェニット、そなたは素晴らしい領主じゃ。事が成功すれば、公爵にも手が届くぞ」

「恐れ多いです!」


小気味よいジェニットの返事を聞いて、ザラは豊かな黒髪を背中に流した。ジェニットとの抱擁を終えたザラが、金色の義足をカンと床に高く鳴らして、前を向く。


「では参ろう、いざ、流行り病の王都へ」

「はい!」


ザラは流行り病が蔓延する王都へと、馬車を急がせた。大きな大きな荷馬車を何列も従わせて。